三戸城跡 国史跡指定への取り組み

三戸町は令和3年度中の三戸城跡国史跡指定に向けて取り組んでいます!

目的

  三戸城跡は、戦国時代に北奥羽一帯(※1)を治めた三戸南部家の拠点であった歴史を持ち、城跡内には往時を偲ばせる貴重な遺構が残されています。学術的に大変重要な遺跡であることから、当該城跡を長く後世に伝えるため、国の史跡指定を目指した学術研究と保存・活用に取り組んでいます。

  ※1=北奥羽一帯とは、青森県東側半分と岩手県北部の範囲。

 

三戸城跡上空写真(奥の山は名久井岳)

三戸城跡の歴史概要

  群雄が割拠する戦国時代、北奥羽一帯は南部一族によって治められていました。16世紀の中頃、一族の宗家である三戸南部家は、領国経営の拠点を聖寿寺館(南部町)から、規模の大きな三戸城に移します。

  天正18年(1590)、小田原攻めに参陣した26代当主南部信直は豊臣秀吉から「南部内七郡」の領有を認められ(豊臣秀吉朱印状)、この時、三戸城が正式な居城に定められます。その後、居城が福岡城(二戸市)、盛岡城(盛岡市)へと移る過程で多くの城が廃城となる中、三戸城は残され城代が置かれます。貞享年間(1684~1688)の城代廃止に伴い古城となってからも御掃除奉行が設置されるなど、江戸時代を通じて城の管理が続けられました。

地理的環境

  三戸城跡は、三戸町の市街中心部に位置しています。馬淵川と熊原川の浸食と隆起によって形成された標高約130メートルの河岸段丘で、城下との高低差は約90メートル、四方は名久井岳や奥羽山脈に連なる丘陵が巡る天然の要害です。東西に約1.5キロメートル、南北に約400メートルの広大な面積を有しています。

城跡内の様相

  丘陵全体に道と曲輪(※2)が形成されており、これらの曲輪は東西に雛壇状に配置されています。城の正面である大手は西側で、綱門跡(つなもん)から入城し、鳩門跡(はともん)→欅門跡(けやきもん)→大門跡(おおもん)と続き、頂上部の本丸跡(駐車場)に至ります。城絵図によると、鳩門より本丸までの間には重臣の屋敷が並んでいたとされ、要所には石垣や土塁・堀・礎石といった遺構が残ります。

※2=曲輪(くるわ)とは、人工的に造り出された平らな土地のこと。

3D地形図(平面)

3D地形図(大手側)

鍛冶屋門跡石垣(打込接 ※3)

※3=打込接(うちこみはぎ)とは、荒く割って成形した石を積み上げる技法

国史跡指定を目指した経緯

  三戸城跡の台地は、昭和31年、県立自然公園の指定を受けたことを契機に、自然を活かした公園としての整備を開始、城山公園と呼称し、主に行楽地として利用されてきました。途中、野球場の建設や広場の造成など開発が続いたことから、城跡内の遺構の保存に懸念がもたれ、また、城跡の学術研究は未実施であったため、歴史の多くが不明のままでした。

  このことを受けて、町教育委員会では、城跡の歴史究明と地域の歴史遺産として後世へ保存することを目的として、平成16年度から発掘調査を開始、平成25年度まで延べ10年間で城跡の保存区域を選定し終えました。これまでの調査の結果、当初の予想よりも城跡内の遺構の保存状況が良好であることと、各遺構の歴史的価値が極めて高いことが判明するなどの成果が上がり、このことから町は城跡の国史跡指定を目指すことを決め、平成29年度に三戸城跡保存整備検討委員会を立ち上げました。

 

 

保存に向けた取り組み

平成16年度  三戸城跡の保存地区選定のための試掘確認調査を開始

平成25年度  保存地区選定のための試掘確認調査を終了

平成26年度  三戸城跡の遺構精密調査開始

平成27年度  城山管理運営委員会へ城跡の保存へ向けた説明会(4/23)

                  町文化財審議委員へ城跡の保存へ向けた説明会(6/11)

平成29年度  第1回三戸城跡保存整備検討委員会(7/11)

                  第2回三戸城跡保存整備検討委員会(11/10)

平成30年度  第3回三戸城跡保存整備検討委員会(5/29)

                  第4回三戸城跡保存整備検討委員会(11/29)

令和  1年度  第5回三戸城跡保存整備検討委員会(7/23)

                  第6回三戸城跡保存整備検討委員会(11/18)

令和  2年度  三戸城跡発掘調査総括報告書作成

                  国史跡指定のための意見具申書作成

発掘調査事業で検出された遺構

水路状石組遺構(鍛冶屋敷跡)

井戸跡(奥瀬与七郎屋敷跡)

門礎石(大門跡)

本丸跡石垣

今後の研究課題

・築城年代の特定(聖寿寺館より移転した時の様相の究明)

・城跡の変遷(城主ごとの城構造の変化を確認)

・石垣の構築年代の特定

国史跡指定に向けた令和2年度の三戸町の動き

・発掘調査や歴史研究で得た成果をまとめた総括報告書を刊行します。

・国に史跡指定を申請するための書類(意見具申書)を作成します。

・史跡指定(予定)範囲地の土地所有権を有する方(相続人を含む)から、所有する土地を史跡に指定することの同意をいただきます。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会事務局

〒039-0198
青森県三戸郡三戸町大字在府小路町43
電話:0179-20-1157 ファクス:0179-20-1114

更新日:2020年06月23日