○三戸町議会基本条例
令和四年十二月二十一日
条例第十六号
(前文)
「三日月の丸くなるまで南部領」とうたわれた南部氏。その居城があった三戸町は、緑豊かな山々に囲まれた美しい町です。先人たちは、豊かな自然の恵みに感謝し、知恵と生きる力を身につけ、互いに助け合いながら生きてきました。明治二十二年、三戸町として誕生してからは、青森県南地方の中心地として、大きな役割を果たしてきました。
私たちは、この「ふるさと三戸」をさらに発展させながら、子どもたちに引き継いでいかなければなりません。
地方分権が進む中、議事機関である議会は、多様化する町民の意見をより把握して、これまで以上に公平性、公正性、透明性及び信頼性のある議会運営や開かれた議会づくりを推進する必要があります。町民への情報提供と共有化を図りながら、町民の積極的な参加を求め、議員同士が「アクティブ」な討議をとおし、論点や課題を明らかにし、町民本位の立場をもって、その執行を監視し、さらには、課題解決のために政策立案、政策提案及び政策提言を積極的に行っていかなければなりません。
ここに、議会はこれまでの改革の取り組みをさらに継続して、地方分権と地方自治の時代にふさわしい開かれた議会、町民とともに歩む議会を目指すことを決意し、議会の最高規範として、この条例を制定します。
(目的)
第一条 この条例は、議会及び議員の活動原則と役割を定め、議会機能を強化し、町民の負託に的確に応え、もって町民の福祉の向上及び町政の発展に寄与することを目的とする。
(議会の役割)
第二条 議会は二元代表制のもと、次に掲げる役割を担い、その責務を負う。
一 議案の審議及び審査を行い、町の意思決定を行うこと。
二 町長等の事務執行について監視し、政策の効果を適切に評価すること。
三 町政の課題等について調査を行い、政策立案及び政策提言を行うこと。
四 意見書の提出、決議により、国等への意見表明を行うこと。
(議会の活動原則)
第三条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
一 公平性、公正性、透明性及び信頼性を確保すること。
二 町民との意見交換等を通じて、多様な課題解決に取り組むこと。
三 町民の多様な意見を基に、調査活動や積極的な議論を通じて政策立案力及び政策提言力の強化に努めること。
四 町民本位の立場から、適正な町政運営が行われているかを監視・評価すること。
五 町民に開かれた議会を目指すため、議会改革を継続的に推進すること。
六 町民の関心が高まるよう、社会情勢の変化に的確に対応した分かりやすい議会運営を行うこと。
(議会活動実行計画の策定)
第四条 議会は、この条例に掲げる規定を具現化するため、議会活動の実行目標、工程、期間等を定めた実行計画を策定するものとする。
2 議長は、これを公表する。
(議員の活動原則)
第五条 議員は、「アクティブ」な姿勢を原則として、次に掲げる活動を行わなければならない。
一 議会が言葉で意思や意見を表明し、議論によって物事を決める場であること、また合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
二 町政の課題について、町民の多様な意見を政策形成に反映できるよう、自己の資質の向上に努めること。
三 議会の構成員として、一部の団体及び地域にとらわれず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
四 議員として、高い倫理性を保持し、誠実かつ公正に職務を遂行すること。
五 自らの議員活動について、町民に対する説明責任を果たすこと。
(町民参加及び町民との連携)
第六条 議会は、その有する情報を積極的に町民に発信し、説明責任を十分果たさなければならない。
2 議会は、常任委員会、全員協議会及び特別委員会のほか、議会が主催するすべての会議を原則公開する。
3 議会は、議員と町民が自由に意見の交換を行うことができる場を年一回以上開催し、町民の多様な意見を把握するとともに、町民参加の推進に努める。
(議会と町長等執行機関の関係)
第七条 議会は、町長と独立対等な立場で、緊張関係を保ちつつ、議事機関としての役割を果たすものとする。
2 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
3 議長から本会議及び常任委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(議員定数)
第八条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来予測と展望を十分に考慮するものとする。
3 議員定数の条例改正案は、地方自治法第七十四条第一項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して、必ず議員が提案するものとする。
(議員報酬)
第九条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来予測と展望を十分に考慮するものとする。
3 議員報酬の条例改正案は、地方自治法第七四条第一項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して、必ず議員が提案するものとする。
(議員間の自由討議と合意形成)
第十条 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議案及び提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互に多様性を認めた上での自由な討議により議論を尽くし、合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第十一条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会の機能を充実させるため、議会活動を補佐する議会事務局の機能強化に努める。
(議会図書の充実)
第十二条 議会は、議員の議会における審議及び調査研究に資するため、議会図書室について、必要な資料等の収集保管のみならず、議員に積極的な情報提供を行う機能の充実強化に努める。
(議員研修の充実強化)
第十三条 議会は、議員の政策形成及び政策立案の能力向上を図るため、議員研修の充実強化を図る。
2 議会は、この条例の制定趣旨についての理解を深めるため、一般選挙後の議員の任期開始後速やかに、議員に対し、この条例に関する研修を行う。
(広報及び公聴)
第十四条 議会は、町民に開かれた議会を実現するため、多様な手段を活用し、積極的な広報に努める。
2 議会は、町政の課題に関する町民の様々な意見を把握するため、多様な手段を活用し、広聴の充実に努める。
(議員の政治倫理)
第十五条 議員は、町民全体の代表者として公正、誠実、清廉を基本とした高い倫理観を持ち、政治活動に関する法令を遵守する。
2 議員は、政治活動に関する法令を守り、いかなる違反行為も禁止することを徹底しなければならない。
(災害時の対応)
第十六条 議会は、災害が発生した場合において、町民及び地域の状況を把握するための体制整備に努める。
2 災害が発生した場合における議会の行動基準等に関し必要な事項は、災害時業務継続計画に定める。
(最高規範性)
第十七条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。
(条例の見直し)
第十八条 議会は、この条例が社会情勢の変化及び町民の声に対応しているかどうかを議会運営委員会において毎年検証し、議長に報告するものとする。
2 議会は、前項による検証の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
附則
この条例は、令和五年一月一日から施行する。